私の父がそろそろ死を迎えるらしい。
人生で一度も会ったことがない父。
その父がそろそろ、らしい。
「一応知らせておこうと思って」と、母から聞いた。
それを聞いた私は冷静で、会いたいとか、会いたくないとか、好きとか嫌いとか、何も感じずに事実だけを耳で聞いた。
今までの私の人生に「父」というWordがなかった。
幼い頃、「こどもは男と女から生まれる」ということも知らなかった。
え?今は知ってるよ(笑)
ただね。その父が間もなく人生の節目を迎えることを知った私は、父という存在を少し意識するようになった。
そしたら、父がいてこそ私がいるんだなと思い、ありがとうと感謝の気持ちが芽生えてきた。
母が結婚したことも、シングルマザーになったことも、超絶忙しく働いていたことも、母が選んだ人生なのだ。
そのおかげで私は祖父母がいつもそばにいてくれた。
父がいないことに違和感を感じたことがないほど家族に愛してもらった。
(むしろ愛とは、ないものをカバーするものでないからこの表現がおかしい!)
鹿児島にいる父の存在に感謝の気持ちを感じられた自分を少し嬉しく感じて、あったかい気持ちになった。
静かに父に感謝して、きっと私は「会う」という選択はしないんだろうな。